数十年前に親の建てた家が、もう誰も住んでいないので解体工事をすることに。
その結果、作業前にご近所さんへ挨拶回りを行うことになりました。
ところが、挨拶のやり方も分からないし、手土産には何を用意すればよいのか悩んでいる方も多いでしょう。
そこで、今回の記事では「解体工事を行う際の近隣住民への挨拶方法」をくわしくご紹介いたします。
挨拶状に書くべき項目や文例などについても具体的にまとめましたので、作業前の挨拶回りを控えているという方は、ぜひ参考にしてくださいね。
解体工事の挨拶はなぜ必要なの?
解体工事をする前には、ハウスメーカーや解体業者からの挨拶回りとは別に、個人でも近隣住民へ挨拶を行う必要があります。
では、なぜ挨拶回りをしておかなければならないのか理由を見ていきましょう。
近隣挨拶でトラブルを回避する
ご近所の方へ挨拶を怠った場合、さまざまな苦情により関係性がもつれる可能性が出てきます。
建物の解体工事中には、騒音や粉塵飛散だけではなく、有害物質であるアスベストが巻き散らかされる恐れもあるので注意しなければなりません。
たとえ心配しなくても良い状況だとしても、突然身近で解体工事が始まれば、騒音・臭気・埃・振動、見慣れない人の出入りなどから、周囲の住民には不快感が付きまとうものです。
最悪のケースだと、警察を呼んで裁判沙汰になったり、解体工事を中断する必要が出てきたりするので、挨拶回りは丁寧に行っておくようにしましょう。
解体工事が近隣住民に与える影響
解体工事を行う際には、近隣住民へ何かしらのご迷惑をおかけしてしまいます。
主に3つの影響があるので、ここで確認しておきましょう。
騒音や振動が起きる
騒音や振動などは、どれだけ気を遣って工事を行っても避けられません。
重機で壁や屋根の取り壊しを行う時に発生する騒音などは、念入りに対策を行ってもご近所へ響き渡ることでしょう。
業者は家の周囲に防音パネルをできるだけ設置したり、騒音・振動が発生しやすい作業は早朝や夕方には行わないようにしたり等、さまざまな対策してくれます。
もちろん気を配った作業を意識されてはいますが、近隣挨拶の際には上記のことを念押しでお伝えしておくと安心です。
ほこりや粉じんが飛散する
解体工事を行う際には、建物内に溜まっていたほこりや、木材等を壊したことによって発生する粉じんが、風によって飛散することがあります。
これらは近隣で外に干されている洗濯物、車や家の屋根を汚してしまう可能性があるので、気を付けなければなりません。
また、アスベストなどの有害物質が含まれていると大変危険で、近隣住民に健康被害をもたらす恐れがあるため、注意する必要があります。
養生設置や水撒きなどの対策をしっかりと行い、極力周囲に被害が及ばないように気を付けなければなりません。
上記の内容は、あらかじめ挨拶回りのときに伝えておくと良いでしょう。
害虫被害
家屋の中では、いつもは物陰に潜んでいるゴキブリやクモなどの害虫が出てくる可能性があります。
害虫は解体工事や片付けで発生する音に驚いて、近くの家の中に逃げてしまうかもしれません。
害虫が外へ出ていかないように、施工前には害虫駆除用のエサ、殺虫剤や燻煙材などを使って、きちんと事前に退治しておきましょう。
やはり挨拶はある方が良い?手土産は必要なの?
何か一言でも顔を合わせておく方が、ご近所さんと面識を持つことができるので、お互いに安心するためにも挨拶はある方が良いでしょう。
また、挨拶回りを行うときには、簡単な手土産(粗品)を持参しておく方が丁寧な印象を持たれやすいとも言えます。
ただし特に決まりはない
挨拶回りはある方が良いと言えますが、手土産に関しては特に何か決まりがあるわけではありません。
持参しなくても解体工事は進みますし、「なんで何も持ってこないの?」とご近所から苦情が出ることはほとんどないでしょう。
すべて施主の気持ち次第なので、工事中にご迷惑をかけて「申し訳ない」という気持ちがあれば、効果がなくても何かお渡しできるものを準備するのがおすすめです。
挨拶ない場合はトラブルの原因になる可能性もある
手土産を持参しなくても苦情が出ることはほとんどないとご紹介しましたが、挨拶がないとトラブルの原因になる可能性があります。
解体工事の際には何かしらの騒音がでるため、近隣住民の方にストレスがかかるかもしれません。
そこで苦情が発生すれば、施主側が精神的に大きな負担を受けることになってしまうので、クレーム防止のためにも挨拶は行っておく方が良いでしょう。
近隣挨拶する範囲はどれくらい?
自宅の解体工事前に行う近隣挨拶は、全世帯まわるべきなのか、それとも向こう三軒両隣程度だけまわるべきなのか、悩む方もいるでしょう。
以下では、近所へ挨拶をする時に、どこの範囲まで回るべきなのかをご紹介いたします。
ご近所への挨拶は「向こう三軒両隣」が最低範囲
ご近所への挨拶は、向こう三軒両隣には確実に行いましょう。
具体的には、両隣の2軒、家の表側の3軒、家の裏側の3軒、”合計8軒”の住宅を指しています。
たとえご自宅の前が道路で隔たれていても関係ありません。
ただし、工事内容や期間、周辺環境(道路状況や地域性)などによっては、さまざまな世帯にご迷惑をおかけする可能性があります。
状況を判断した上で、周辺の住宅に挨拶へ行きましょう。
また、もしも家の解体工事を開始する前に、近所付き合いが良好で「気にしなくても大丈夫。」と言われても、礼儀を考えて挨拶はきちんとしておくべきです。
挨拶状に書くべき項目と文例
解体工事や新築工事を行う際には、近隣へどのような挨拶状を送るべきなのか悩む方も多いでしょう。
ハウスメーカーや工務店の方が事前に挨拶をしてくれていることがほとんどかと思いますが、工事中の騒音や粉塵などのご迷惑を考えると、個人でも挨拶をしておく方が安心です。
インターホンを押して留守だった方には、ポストに下記のような手紙を投函し、手土産は玄関付近に置いておくのが無難だと言えます。
また、在宅の方にはしっかりと挨拶を行って、手紙と手土産をお渡しください。
解体工事における挨拶状の文例
以下では、住宅の解体工事における挨拶状の文例をご紹介いたします。
【解体工事のご挨拶】
拝啓
時下益々ご清栄のことと、お慶び申し上げます。
平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
この度、近隣にて○○解体工事を行う事になりました施主の○○と申します。
解体工事期間中は騒音や振動等で皆様には多大なご迷惑をおかけするかと存じますが、工事期間中は安全、騒音等に万全の注意を払いますので、何卒ご理解とご協力を賜りますよう、宜しくお願い申し上げます。
敬具
解体工事場所:○○県○○市○○町○○番地
解体工事期間:令和○○年○○月○○日~令和○○年○○月○○日
解体工事時間:午前〇時~午後〇時予定
休日:土日祝
施主:○○○○
施工業者:○○○○
緊急連絡先:000-000-0000
(工事は天候により延期させていただく場合があります)
解体工事前のあいさつで持参する手土産は何がよい?
「手土産は洗剤やタオルの詰め合わせでも大丈夫?」
「特にお隣さんは一番ご迷惑をかけると思うので、他の世帯より良い品(お菓子・お酒など)の方が良いの?」と、ギフトの選び方に悩んでいる人も多いでしょう。
粗品におすすめの商品は?
手土産で渡す粗品は、どこの家庭でも使うような消耗品が無難だと言えます。
くわしくは、下記のリストをご確認ください。
【粗品におすすめの商品】
フェイスタオル、ハンドタオル、キッチン用洗剤・洗濯用洗剤、スポンジ・たわし、入浴剤、石鹸、調理用ラップ・アルミホイル等々。
調味料やお菓子等の口に入れるものも悪くはありませんが、各家庭で好みの銘柄があることが多く、できれば日用雑貨品の方がおすすめです。
もしも菓子折りにする場合は、ご高齢の方が多い地域であれば日持ちする「羊羹」、お子さまが多い地域であれば「クッキー」や「ゼリー」等が良いでしょう。
世帯によって手土産を変える必要はない
隣にある世帯でも、道を挟んだ向こうにある世帯でも、手土産の中身を変える必要はありません。
あまりに高価なものを渡されると相手側も気が引けるかもしれませんので、気持ち程度の粗品を渡すのが無難だと言えます。
商品の値段は、1000~2000円程度で納めるようにしましょう。
手土産に”のし”は付けるべき?
結婚や出産祝いでは、贈り物に”のし”を付けるのが一般的と言われていますが、手土産(粗品)には特に厳密な決まりはありません。
のし紙を付ける場合には、”外のし紙”を付けることが多く、簡単で手軽に付けられるのでおすすめです。
また、のしを付けなければならないという決まり事はないので、依頼主の気持ち次第だと言えます。
→ 各種工事のお問い合わせは当サイトまでお願いします。
まとめ
「解体工事を行う際の近隣住民への挨拶方法」についてご紹介してきましたが、いかがだったでしょうか?
依頼主と業者は工事内容について深く承知していますが、近隣住民は突然周りで工事が始まれば、驚きと不安を隠すことができません。
また、挨拶がない状態で工事が開始されてしまったら、トラブルやクレーム発生の元にもなります。
周囲への配慮をしっかりと忘れずに、丁寧で心のこもった挨拶回りを行いましょう。