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近年、地域内での交流が少なくなることによってご近所トラブルが増えていますが、そのご近所トラブルの中でも厄介な事例の一つが「ごみ屋敷」問題です。
ゴミ屋敷とは?どんな原因でゴミ屋敷になるの?
ごみ屋敷とは自身の敷地内に自身の所有物だけでなく、ゴミステーションや近隣で不法投棄しているものを持ち運ぶことなどによって、足の踏み場がないほどに使えないものをため込んでしまった住宅のことです。
ゴミ屋敷が誕生する原因
ごみ屋敷が起こる原因としては精神的ストレスがあり、例えば先に言った地域での交流の減少や伴侶を失うなどのさみしさを紛らわすために物が溢れている状態にして気を紛らわせる場合が多いようです。
このごみ屋敷が厄介な点として挙げられるのは、ごみと分かっていても他人が処分することができないというところです。
通常、道端などに不法投棄されているごみは誰のものでもないため、行政が処分することができます。
しかし、ごみ屋敷は所有主が地主と契約して取得した土地なので、その決められた区画の土地にあるものはすべて所有主のものと法律で決まっています。
そのため、所有主が使っていないごみと誰もが分かっていても、所有主が土地にある使わないものをごみと言わずに自身の所有物で資源であると言い張れば行政が処分することはできないのです。
しかし、手を出せずに放置してしまうと、このごみ屋敷は様々な問題を引き起こすことになります。
ゴミ屋敷がもたらす悪影響
ごみ屋敷は本来必要ではないものを家に集めてしまうため、その中には生ごみといった腐敗するものも当然含まれています。
生ごみや食べかすなどがついた皿をそのまま放置をするとそのゴミやソースの中に雑菌が繁殖することになり、独特の発酵臭を出します。
その発酵臭が風に乗って巻き上げられると、その周辺に独特の臭気が蔓延するので精神的ストレスの要因になります。
さらに生ごみや食べかすには栄養が含まれているので、それを求めて害獣や害虫がわくことにもつながります。
害獣や害虫の中には毒性の強いカビや雑菌を持っている物も少なからず存在するため、健康被害につながってしまうのです。
火災のリスクも高まる
一番多いのが悪臭と害獣及び害虫の被害ですが、それ以外に最も注意しなければならないのが火災による被害です。
なぜごみ屋敷が火災原因になるのかというと、まず先に言った悪臭の原因である発酵臭が関係しています。
発酵臭とは微生物が出すガスのことですが、そのガスの多くは可燃性のガスであることが多いです。
可燃性のガスがゴミの量に比例して多くなると、その可燃性のガスが住宅内を駆け巡ることになります。
可燃性のガスが蔓延している中に、例えばごみの中に卓上コンロに使うカセットボンベなどの金属が入っていれば、金属が擦れて火花を出て可燃性ガスに引火します。
それ以外でもガラス製のごみを戸外に置いている場合、そのガラス製のごみに太陽光などが当たって一か所に集約され、高熱になればそれも火元になります。
もちろん所有主がガスが蔓延しているのにも関わらず、タバコなどにライターを使って火をつければそれでも引火してしまいます。
それだけでなく、タバコの火を消しきれずに放置すれば、その火がごみ屋敷の中にある可燃性のごみに引火する可能性も十分考えられます。
実際に火災になった例も
実際に火災の事例は名古屋市のごみ屋敷において起きたことがあり、それは撤去前日にタバコを吸った時の吸い殻に火が残っていて、それが火元で火災になったというものでした。
その火災によって自身の家だけでなくその周辺の家にも燃え移ってしまい、大きな災害に発展してしまったのです。
このように、ごみ屋敷というのは近隣トラブルの中でも精神面や肉体面の被害にとどまらず、その他の周辺の人々の財産も失わせてしまう厄介な問題であることがわかるでしょう。
ゴミ屋敷を取り巻く状況
強制撤去が可能に
現在ではごみ屋敷が衛生面だけでなく、命にかかわる事態にも発展することがわかっているので、自治体の法律で強制撤去できるように制定しているところが増え始めています。
しかし、強制撤去はあくまで最終手段であり、その強制撤去するためにはいくつか過程を踏まなければならないため、簡単に行えるものではありません。
そのため、基本は撤去を要請する旨の書類を送って、所有主の心変わりを待つことになり、それが数年たって初めて強制撤去ができるという形になります。
ただ、ごみ屋敷は命に関わる可能性を持っていることから早急に手を打つ必要があり、そのためにはやはり近隣の協力と行政ではなく地域の処理専門業者に委託するという流れが正しいやり方です。
行政と近隣住民の協力が必要
まずごみ屋敷にしてしまう原因として挙げられるのは精神面でのストレスですから、そのストレスを緩和して精神面の不安感を無くさなければ前に進まないでしょう。
その精神面の不安感を解消するためには、近隣の人々が協力してごみ屋敷の所有主に話しかけ、ストレスの原因を聞き取りをしながらお互いの信頼を構築していきます。
信頼関係を構築して何がストレスになっているのかを解決できれば、その精神面の不安感をなくすための行動であるごみを溜めるという行動が意味をなさなくなるでしょう。
この段階になれば、所有主が本当は心に思っていても表面に出なかった処分したいという気持ちを出しやすくなるので、もうひと押しという形でごみ処分を本人に任せるのではなく、その処分を手伝ってあげることで心の負担を軽減してあげます。
所有主に寄り添った対応を
次に処分をすることを決めたら、今度は近隣のごみ処理専門業者に連絡して実際に赴いてもらい、計画を立ててもらいましょう。
その計画を立てたら所有主と協力をして、いきなり全てを無くすのではなく徐々に家のごみを処分していきます。
いきなり全てを処理するのは大変というだけでなく、その中に本来所有主にとって必要だった物が混ざっていた場合、捨ててしまったことが重荷になり再びごみを集め出してしまうリスクをはらみます。
そのため、処理していいのかを業者に委託するのではなく、まず所有主に確認して捨てるものと捨てないものを分別し、捨てられるものから捨てていき、最終的には何もない状態にしていくという段階を踏むことで解決していきます。
原因は心の問題が大きい
ゴミ屋敷の問題は健康や安全面の問題からクローズアップされるようになっていますが、その背景は所有主の心の寂しさが原因であることをあらかじめ知っておくことが大事です。
その上で解決するためのカウンセリングを含めて行動し、それでも聞き入れずごみを捨てないのであれば最終手段である行政に委託して強制撤去してもらうというのが解決策になります。